逞しい主人の迫力ある演武にドキドキ

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逞しい主人の迫力ある演武にドキドキ

    ●新郎が余興に出るなんておかしいよ●


    結婚式を数日前に控えた夜、元少林寺拳法部の主人から「余興で先輩や後輩達が演武をするんだけど、俺も参加してもいいかな」と聞かれました。そのとき私は、そういったものは新郎のやることじゃないし、何よりも恥ずかしいから絶対にダメ!と、断固拒否しました。主人は不満そうでしたが、せっかくの結婚式でタキシード姿の主人が暴れ回るなんて、私には想像ができません。念入りに止めるように説得し、その日はそれで終わったのですが、今考えると聞いたのはあくまでも形だけに過ぎなかったのです。
    挙式当日、進行表を確認すると、事前に打ち合わせをしていたところと、違う場所に演武が組み込まれていました。怪しく思い主人に問いただすも「ちょっと変えてもらっただけで、深い意味はないよ」と、素っ気ない返事。でも、嘘をつけない主人なので、本当かどうかはすぐに分かります。この態度は明らかに嘘をついているときのもの。そこで、もう一度「絶対に出ちゃダメだからね」と念を押すと分かったからと、またまた素っ気ない返事。あぁ、もう出る気満々のようです。

    ●主人の意外な一面を垣間見ることに●


    式が進み演武が近づくと、トイレにいってくるとわざとらしい嘘をついて主人は退散。新郎不在で式が続きます。もう、本当にわがままな主人です。こんな人と結婚して、本当に良かったのだろうかと、不安になってしまいます。と、そのとき「カラーン、コローン」とゲゲゲの鬼太郎のような音が響き、正面の扉が「オス!」という掛け声とともにバーンと開かれました。

      登場した胴衣を着た人達の、真ん中にいたのはもちろん主人です。私は思わず頭を抑えましたが、周りの人達はまだそのことに気づいていない様子。このまま気づかずに終わってくれれば…との願いもむなしく、司会者があっさりとその事実を公表してしまいました。もう見守るしかありません。
      ちょっと腹立たしい気持ちになりながら演武を見ていると、私の前では見せない、違った主人が見えてきました。こんなに大きな声が出せたんだぁ、意外と素早い動きもできるのねぇと、少しずつ引き込まれていきます。そして何よりも驚いたのが、板割り。細腕の主人の突きや蹴りで、板がいとも簡単に割れるのです。演武を終えるころには、すっかり主人を見直していました。

      ●他人から夫婦になった瞬間●


      演武を終えてタキシードに着替え、申し訳なさそうに戻ってきた主人。嘘をついたことは許せないけど、格好良かったのも事実です。でも、ここで甘やかしては、今後の結婚生活に響きます(笑)。私は怒ったふりをしながら一言文句をいうと、主人も素直に謝ってくれました。
      絶対にないと思っていた新郎の余興参加ですが、逆にそれが結婚式を忘れられないものにしてくれました。友達からは今でも、旦那さん格好良かったねといわれます。主人ももしあそこで出ていなかったら、きっと心残りだったでしょう。この出来事はなんでも私の考えだけで拒絶せず、夫婦は話し合わなきゃいけないなぁと実感させてくれた瞬間でした。
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