新郎を巻き込んでネタを披露

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  • 新郎を巻き込んでネタを披露

      ●学生時代は夢を追っていたふたり●


      大学時代は落語研究会に所属し、「パンチライン」というコンビを組んで漫才やコントをしていたオイラと新郎。漫才コンテストなどにも出場し、お笑いの道をふたりで目指そうなんて語り合ったときもあった。でも、結局は思うようにならず、別々の会社に就職し、ふたりで合う機会すらほとんどなくなっていた。そんな相方から結婚式の招待状が届き、しかも余興を頼むとのメモが添えられていたとき、オイラはすぐに決心した。久しぶりにやってみるかと。
      しかし、いざネタづくりをはじめると、以前のようなキレがない。たまに浮かんでくるのは結婚式にはそぐわない下ネタやら、まったく笑えないネタばかり。新郎となる相方には一切話しをしていないので、早いうちに仕上げてネタ合わせをしなくては間に合わない。刻々と式の当日が近づいて来るなか、オイラは妥協した。昔のネタでいこうと。

      ●新郎にも内緒のどっきり漫才●


      式当日、久しぶりに会う大学時代の友人たちと会話しながら、出番を待つ。徐々に緊張が高まっていくのを感じながら、式の流れを書いた台紙とにらめっこ。あまりの緊張に食事もほとんど進まない。大学のころなら、こんな緊張はなかったのに…。
      そしていざ出番。名前を呼ばれて前にいき、マイクの前でこう切り出す。「相方、結婚おめでとう。ほな、漫才やろか」。

        実は、相方にもこのことは伝えていなかった。新しいネタが考えつかなかった時点で、相方には内緒でいようと考えていたのだ。嘘やろ…みたいな顔をする相方をみて、今度は会場に向かい「新郎の○○君と僕は大学時代お笑いコンビを組んでいまして、ここでそのネタを披露したいと思います」と、大声を張り上げる。驚きの混じった声とともに、拍手が会場を包む。もう逃げられない相方が渋々と壇上から降りてくる。その微妙な表情を見て、場内はさらに盛り上がる。相方には悪いが、ここまでは予定通りだ(笑)。

        ●体に染みついたネタで心配は杞憂に●


        さて、問題はここから。当然ネタ合わせもしていなければ、過去のどのネタをするかすらも決めていない。お前いい加減にせえよと、目で訴えかけてくる相方を無視し「どうも〜!」とマイクに向かって声を張り上げると「パンチラインです〜」と、見事にハモった。これでこそ、大学4年間、一緒に馬鹿やってきた甲斐があったというものだ。
        こうなればもうあとは順調。漫才のことを内緒にしていたことなどをネタに混ぜつつ、うまい具合に昔のネタへ移行。3年ぶりということもありところどころ内容が抜けたものの、本筋はお互いに忘れておらず、コンビを組んで以来、最大の舞台を爆笑とともに終えることができた。最後に憎まれ口を叩かれたものの、本人もまんざらではない様子。お嫁さんも相方の知られざる一面を見ることができたと喜んでくれたし、相方のお父さんには握手まで求められた。
        それ以来、相方と漫才をする機会はないけれど、今でもたまに結婚式のビデオを見ながら、お嫁さんを交えて酒を飲んでいる。次があるとすればオイラの結婚式。今度も大爆笑で締めくくりたいものだ。
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