新郎新婦みずから、新居まで道案内

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新郎新婦みずから、新居まで道案内

    ●分かりづらい道順●


    披露宴の当日にくることのできない友人からのビデオ・メッセージは時々見かけますが、新郎新婦が自分たちで撮影したビデオが流れるのは、ちょっと珍しいのではないでしょうか。それも、最寄り駅から新居までの道案内ビデオというのは。
    ことの発端は、僕の発したひとことでした。結婚したのは大学時代の先輩で、式を挙げる半年くらい前から、新しい家で新婚生活(?)を送っていました。引っ越して少したったころ、「遊びにこいよ」といわれて出かけていったのですが、これがまた分かりづらい場所で。駅から新居へのいき方は2通りあって、ひとつは大通りに沿うコース。こちらは道が遠回りになっているので、20分くらいかかります。もうひとつ、細い抜け道を縫っていく方法もあって、これだと10分かからないくらいなのだといいます。

    ●辿り着けない新居●


    最初の訪問のときは、先輩からのFAXを頼りに細道に入りかかったのですが、道順があまりにも複雑きわまるため、途中で挫折。いったん駅まで戻って、結局大通り沿いにいきました。夏の暑い日だったこともあって、さんざん歩いて汗だくだくです。
    帰りは先輩がつき添って、近道経由で駅までいきましたが、とても覚え切れませんでした。その次のときは、駅まで先輩が迎えにきてくれて、曲がり角など要所ごとのポイントを確認しながら家までいき、それでようやく近道を飲み込んだようなわけです。
    「みんな分かりづらいっていいませんか?」
    と聞くと、
    「そうなんだよ。最初のときは、道順を説明しても誰も辿り着けない。で、2回目からは、お前んち道が分かりづらいから、って遊びにきてくれないんだ。まあ、オレが駅まで迎えにいけばいいんだけどな」
    と嘆いていました。



      ●まるで夫婦漫才●


      そこで、先輩夫婦がみずから一念発起、駅から新居までの道順を実際に歩きながらビデオに収めたのですが、披露宴当日これが流されると、会場はなごやかな笑いに包まれました。なぜなら、この夫婦の掛け合いがおもしろすぎるのです。
      夫「ここの肉屋はコロッケがおいしいので、うちにくるときには是非おみやげにどうぞ」
      妻「んまっ。あなたはそんなものもって帰ってきたことないじゃない」
      夫「おいしいから、買うと道々食べちゃうんだよ!」
      とか、
      妻「この先を左斜め後ろ方向、いったん駅の方に戻る感じで曲がるんだよね」
      夫「違うよ、そのもうひとつ向こうの、でかい鳥のいる木のところだろ」
      妻「鳥はいつもいるわけじゃないでしょう」
      とか。
      さらには、子どものころみたいに他人の庭の隅を借りて通ったり、体をよじって塀と塀の間の狭い隙間を抜けたりと、たしかにちょっとした大冒険なのです。このビデオを見たくらいじゃ、やっぱり道順はそうそう簡単には覚えられないはずですが、なるほど、一度遊びにいってやろうかと思わせることには成功したのではないでしょうか。
      新婚家庭への来客の数が増えたかどうかは、まだ聞いていません。
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